勝ち組へ一歩を踏み出したあの日

当時の私は環境認識をしていなかった。
やり方が分からなかったのだ。
長期足と短期足の意味もよく分からなかった。
長期足って具体的にどの時間足なの?
人によるって言われてもいまいち、分からなかった。
こんなレベル。



なので飛び乗りトレードをすることも多かった。
環境認識をして勝ちやすい場面を絞りこむなんてことは私には無縁だった。
とにかく良さそうと思えばエントリーするのでポジポジ病だった。
1日のトレード回数は20回しても普通だと思っていた。
今思えばスプレッドだけでも結構取られてるよね(笑)



この時は5分足がとても綺麗だったので、5分足しか見ずに売りエントリーした。
エントリーしたのはポンド円。
エントリールールはどこかのサイトで学んだチャートパターンのみ。
自信もって「これが私の手法」とか「勝てる手法」というものはもちろん持っていなかった。



トレーダー仲間は男性ばかり。
平日は毎晩、Skype。
今日はどこでエントリーしたのか、勝ったのか負けたのか。
もちろん損益金額も言い合うのが習慣だった。
みんな資金力があるのか、ロットは最低でも1ロットだった。
だいたい2~3ロットでトレードしていて、自信が無い時に1ロットって具合。
私のようにギリギリでやっている人なんていなかった。
なので、私も1ロット以上入れるのが当たり前になっていた。



知り合いの勝ち組トレーダーの話題も良く出る。
「Aさんは9ロットでやっているらしい」
「Bさんは7ロットだって」
「Cさんは3ロットだって。少ないね」
そんな会話もしていた。



本当はもっと小さなロットでトレードしたかったけど、見栄とプライド。
0.5ロットでなんて恥ずかしくて入れられなかった。



この時も1ロットでエントリー。
仲間と比べると少ないロット。
売りエントリーしたけど逆行。
早速、あざ笑うかのように大きな陽線が3本出た。
そしてぐんぐん上昇して早くも損切位置に到達しそう。
よくあるパターン。



最初入れた損切り注文を遠くにずらし、一安心。
下がると思った5分足は綺麗なアップトレンドに変わってる。
いや、大分前からアップトレンドなのかもしれない。
もはや下げる要素も見当たらない。
環境認識を知らない私でも、分かるくらいの力強い綺麗な上げ相場。
この状況で売りをする人は、いるのかな?
何も考えずにエントリーする負け組代表の私と、逆張りが得意なトレーダー達くらいだろう。



そして高確率で死亡。
毎月の給料日の入金では足りなくて、月の半ばにも入金。
いつになったら出金できるのだろう。



ただこの時は少しくらいは下がるだろうと思ってさらに売りポジションを追加。
いつものごとく、エントリーすると同時に逆行。
悲しくて笑えて来る。
もうすぐでいつものSkypeの時間だ。
急がなくちゃ。



この時のロットは1ロット、これで合計2ロットになった。
そうして始まったSkype。とても会話に集中できない。
一人一人、順番に画面を共有しながら今日のトレードを振り返る。
そして、私の番。
私のチャート画面を皆に共有しないといけない。
そうなると今持っているポンド円が映る。
内緒にしておきたい。



どうしよう、恥ずかしい。
明日なら、「実は昨日、爆損したの」って、笑いながら言えるかもしれない。
そう思って、見ないようにしていたチャートをもう一度見てみる。
ダメだ!さらに逆行している。
下げる要素を探してみる。



特にこれと言って、見当たらない。
そんなことよりMAがヤバイ。
教科書に出て来そうなくらい綺麗に上昇し続けている。
良く見ると1σに沿ってリズミカルだ。
リズミカル。面白いワード。
ふっ、何を今、こんな時に、、、
『リズミカルに上昇』が妙にツボに入った。
まだ上がりそうだ。
青天井。



お願い!
少しでいいから下がって!
と、さらに2ロットを追加。
もうこれ以上のロットは入れられない。
今追加したロットで合計4ロットだ。



この状況だって非常にヤバイ。
20pipsでも上昇したら死ぬかもしれない。
いや10pipsか?
分からない、どう計算していいか分からない。



とうとう私の番。
私はチャートをみんなに晒した。
一瞬の沈黙。



「ドル円もポンドドルもこんなに上げてる。暫くはポンド円は上がりそうだよ。」
相関関係がどーたらこーたら。
脳みそが拒否反応。
頭痛がする。



別の仲間からも。
「日足も4時間も1時間足も全てアップトレンドのパーフェクトオーダー、僕は買いで入ってる。」
「4時間足見た?環境認識していたら、どう考えても売りでは入らないハズだよ?」
さらに追い討ちをかけられる。



そうなのだ私は環境認識をしていない。
正確に言うと、環境認識のやり方を知らないのだ。
それなのに、知っているフリをして皆に話を合わしているだけ。
あー哀れ。



「5分足が綺麗にダブルトップをつけてネックラインに反発したの。
そして大きな陰線が出たから、早く売りを入れなきゃと思った」
素直に話した。



5分足以外の足は見たのかと聞かれた。
そんなの見なかったと答えた。



「環境認識せずにトレードしてるなら、もうそれはギャンブルだ」
と言われ、すぐに決済するように言われる。
が、もうこの時の損切り額はビックリするくらいの大きな金額になっていた。
そうだ、損切り位置を大きくズラしたからだ。
しかもテキトーに。。



環境認識していたら買いでエントリーしていたのか、、そんなの知らないよ。
だって環境認識のやり方、分からないんだもん。
私は「もう切れない!」と言って、仲間たちを退ける。
しつこいくらいにアドバイスをくれるのに。
次の仲間にSkypeを回した。



決済した方が良いのは分かってる。
けど、感情が邪魔をして、思い通りのトレードができない。
ここから相場は、唯一アテにしていた前日高値も大陽線で躊躇なく上抜き、夜中も上昇し続けた。



その日の夜は、地獄だった。
毎度のことだけど、眠れなかった。
スマホでポンド円のチャートを見たいけど見たくないという葛藤。
心臓のドキドキ。
神様、神様、どうかお願いだから下がってください。
暴落希望!!



お腹が痛くなってきて
その次に胃も痛くなってきて、心臓の動悸も夜通し続いた。
そして翌日私は絶望した。
真っ赤だったポジションが綺麗に無くなっていた。



こうして私の口座資金はショートした。



どうしてあの時損切りしなかったんだろう。
損切り注文外さなかったら、大した損失ではなかったのに。
追加でロットを入れなければ、、、
いや、みんなが「今すぐ切れ!」ってあんなに強く言ってくれたのに、なぜ切らなかったの!



苦労して溜めたお金が全て溶けた。
これで何度目だろう。
今回のはいつにも増して大きかったな。
お金を減らすためにトレードしてるようなものだな、何やってるんだ私は、、
史上最高のアホだ。



こんなトレードをこのまま続けて行くとお金がどんどん減っていく。
いくらあっても足りない。
一体いつまで続ければいいの。
お金を増やしたかっただけなのに。
1年やってもまだこのレベル。
このまま行くと危険だな。
もうやめた方が良いのかな?



体力の無い私は長時間の肉体労働はできない。
通勤電車も嫌。
会社とかの面倒な人間関係がない世界に行きたい。
好きな時間に起きて、したい時に好きな事をして、行きたい時に行きたい場所に行きたい。



9割が負ける世界。
でも、それって1割は勝っているってことだよね。
現に私の周りには勝ち組トレーダーがたくさんいる。
勝っている人は集まるのだ。
そしていつも美味しいものを食べて、豪華な時計をいくつも保有している。
車もランボルギーニやフェラーリー、高そうな車に乗っている。
一体いくら使ってるんだろうとビックリしたし羨ましかった。



私も乗せてもらったことがある。
黄色のその車は車高が低くて助手席の私はなんだか乗り心地が悪かったけど。
高速道路で思いっ切りスピードを出されて死ぬかと思ったけど、やっぱり気持ちが良かった。
連れて行ってくれるお店も高級店。
支払いはブラックカード。
彼らはいつも気前よくしてくれる。



男性だけじゃない、女性の勝ち組の友達もいた。
彼女たちはエステに通って綺麗。
朝7時に起きて朝から晩まで働くなんてことはしていなかった。
そう、彼女たちは自由なのだ。
まさにストレスなんて無縁。



私もそうなりたい!
今まで先物で負けた分を取り戻したいし、旅行にも行きたい。
回らないお寿司も食べたい!
クレジットカードの支払いにビクビクしたくない!



勝ち組の仲間もいるけど、負け組の仲間もいる。
サラ金にまで手を出している人もいる。
勝てるようになったら、私と同じ思いをしている人を助けたい。
まずは自分が勝てるようにならなくちゃ。



そうだ、私はあきらめない。
勝ち組の1割に入ればいいのだ。
今年中に勝てなかったら諦めよう。
FXじゃなくてもお金が殖やせればなんだっていい。
でもFXで勝てるようになりたい!



期限を決めよう。
今年勝てなかったら、FXを諦めよう!
そう決意した。



いいきっかけだ。
学ぶ時なんだな。
もうリアルトレードは止めよう。
このままやってもお金を永遠に失うだけだ。



環境認識をやらずにトレードはギャンブルか。。
どういうことだろう?



仲間に教えてもらったり、チャートと睨めっこを真剣にやり始める。
唯一の収入源の仕事も辞めた。
勝ち組になるための一歩を踏み出すんだ!
知り合いの勝ち組トレーダーの懇親会(飲み会兼勉強会)にも積極的に参加。
参加費は1万円。
高い。。。



けど、先行投資だ。
勝てるようになるためにはある程度の出費は仕方ない。
トレードしたって1万円なんて、どの道すぐに溶ける。



しばらくして、勝ち組のその人の事を師匠と呼ぶようになった。
人柄も良くて、トレードも凄腕。
人間として、トレーダーとして、尊敬するようになった。
師匠は商材も出していて、そのうちの2つだけを購入。
勝てていない私には痛い出費。



環境認識とMAの手法。
私には目からうろこの知識ばかりだった。




師匠は高額なコンサルもしていた。
それももちろん受講した。
無料で良いって言ってくれた。
けど、師匠が苦労して手に入れたものをタダで教えてもらうなんてとてもできなかった。
それに、師匠の大切な時間を奪っているのだ。
私を教える時間があれば師匠は数十万や数百万の利益を出せるだろう。



師匠は『勝てる手法』ではなくて、『勝ち続けられる』ための方法を教えてくれた。
そして、【1ヶ月だけ30万円勝ちました】という一過性のものは誰でもできるんだよ、と。
『勝ち続けられる』トレーダーはごく僅かだ。
毎月の「継続的な利益を目指すために環境認識を学ぶ必要がある」と何度も言われた。



みんながお酒を楽しんでいる時、師匠や他の勝ち組の仲間たちにトレードを教えてもらった。
チャートを持って行くのはいつも私だけだった。
そんな私に彼らは喜んで教えてくれた。
私はお酒が大好き。
特にウォッカベースのカクテル。
でもその時は、飲むのを控えめにした。
勝ち組の思考をインストールするんだ。
酔っ払っている場合ではないんだ。
死ぬ気でやろう。



そうやって生きた知識を手に入れて行った。
その辺の本や、誰かのブログなどで知り得た知識ではない。
実際に継続的に稼いでる人から得た知識。
裏技にも似ている。
臨機応変に対応する術。



最初はなんだか難しそうと思って避けていた環境認識。
一つずつのステップは簡単なのだと知った。
各時間足ごとに見るポイントがあるのだ。
例えば4時間足はココを見て、1時間足はココを見て、、、こんな感じ。
師匠から学んだ環境認識は、計算された環境認識だった。
環境認識のコツも分かるようになった頃、成績が安定し出した。



少しずつリアルトレードに復帰。
毎日師匠にLINEをする。
「今ドル円、買いエントリーしました」
「今日のトレード結果です」



たまに来る師匠からの返事。
「俺もあやと同じドル円に入ってみよう」
「よくやったね」
心から尊敬する人に認められる。
これだけで幸せだった。



コンサル生の中では最も優秀と師匠を喜ばせるまでに成長。
「受講生として教わる立場ではなく、講師として教える立場になれ」
師匠の薦めにより、師匠の商材やイベントにもサポートメンバーとして参加することも増えた。
師匠のサポート講師の報酬は、もちろん貰っていない。
私を勝ち組にしてくれた師匠への恩返し、これだけではまだ足りない。
1~2年ほどは、こんな感じで師匠のすぐそばでトレードを教わる環境を頂いた。



師匠以外の方からも、ゲスト講師として呼ばれることも増えてきた。
参考➡FXスクール講師 at Tokyo



それからは勝率が大きく変わっていった。
そしてトレード回数も減った。
もうチャートを監視する時間なんて1日のうちのほんの数分だ。
それで利益がしっかりと出せる。
環境認識をして、勝ちやすい場面しか狙わない。
勝ち組には当たり前のルール。
負け組の私が知らなかったルール。
トレード回数が減り、勝率も上がった。



生活リズムも変わった。
好きな時間に起きる。
ストレスの無い1日の始まり。
優雅にコーヒーを飲んでゆっくりとした時間。
したい時に好きな事をして、行きたい時に行きたい場所に行くようになった。
昼間はジムに行ったり、読書したり。
お金の心配から解放されてすっかり心が元気になった。



餅は餅屋。
本当に勝ち続けたいなら。
回り道せずに実際に継続的に稼いでる人から得たコツを知ることが一番の近道なんだ。



あれから随分と努力してきたけど
努力は正しい方向にしないと前に進めないことが分かった。
環境認識と検証、この2つは私を大きく変えてくれた。